国交省/上下水道の耐震化率/被災3県で全国平均上回る/重要施設への管路は平均下回る
国土交通省水管理・国土保全局は、全国に整備されている上下水道施設の耐震化状況を公表した。1月の能登半島地震で上下水道施設が甚大な被害を受けたことに伴い、都道府県の水道事業体、下水道管理者らが行った緊急点検の結果を集計した。水道、下水道とも耐震化率が50㌫を超えている施設が少なく、耐震化が進んでいない状況が浮き彫りになった。東北地方では東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県で、耐震化率が全国平均を上回っている施設が多いことが分かった。
耐震化の状況は、2023年度末時点の数値。大きく水道と下水道に分け、機能を失うと全体への影響が大きい「急所施設」と、避難所や病院などにつながっている「重要施設」とに分けて耐震化率などをまとめた。取水施設、管路といった計11施設の耐震化率は別表の通り。
全国平均の耐震化率を見ると、水道では配水池の耐震化率が67㌫に上り、唯一50㌫を超えている。下水道では急所施設の管路が72㌫、重要施設の管路が51㌫と、50㌫を超えている。
東北6県のうち、岩手県では水道の導水管、浄水施設、送水管と、下水道の管路(急所施設)、処理場、ポンプ場(急所施設)の計6施設が全国平均の耐震化率を上回った。宮城県では水道の取水施設、導水管、浄水施設、送水管と、下水道の管路(急所施設)、ポンプ場(同)の計6施設が全国平均を上回った。福島県では水道の浄水施設、送水管と、下水道の処理場、ポンプ場(急所施設)、管路(重要施設)、ポンプ場(同)の計6施設が全国平均を上回った。東日本大震災からの復興事業によって、他地域より耐震化が進んだものとみられる。
一方、秋田県は公表された11施設のうち、耐震化率が全国平均を上回っているのは下水道の管路(急所施設)、処理場の2施設のみ。山形県も水道の送水管と、下水道の処理場の2施設のみだった。山形県は取水施設の耐震化率が5㌫にとどまり、全国平均より41㌽も低くなっている。
東北地方における施設ごとの耐震化率を見ると、水道では送水管の耐震化率が高くなっている。秋田県を除く5県の耐震化率が、全国平均の47㌫を上回っている。その反面、配水池、重要施設につながっている管路の耐震化率は、全国平均を上回った県が一つもなかった。下水道については、処理場の耐震化率が宮城県を除く5県で全国平均の48㌫を上回った。一方、重要施設に係る管路、ポンプ場の耐震化率は、福島県を除く5県で全国平均を下回った。
国交省は今後、水道事業体、下水道管理者らに耐震化計画の策定および、それに基づいた耐震化事業の推進を促していく考え。また、利用者の実態に合わせた施設の統廃合やダウンサイジング、経営の安定化にも支援を行い、耐震化事業を計画的かつ集中的に行っていく方針だ。