東北6県労働局/年末年始労災防止運動スタート/転倒・凍結対策を一斉展開/局長パトロール、講習会も実施
東北地方の各労働局は、積雪・凍結による転倒災害が急増する冬期間を前に、労働災害防止に向けた取り組みをきょう(1日)から本格的に開始した。東北は豪雪地帯が多く、どの県でも「冬になると転倒災害が突出して増える」という共通の課題を抱えており、労使一体となった対策強化に乗り出している。期間中は各県労働局長がそれぞれの県内で建設現場や事業場のパトロールを実施するほか、講習会を強化し、東北全体で労働災害防止への機運を高め、2026年1月~2月まで、労使一体で「冬のゼロ災」を目指して総力を挙げる。
東北6県すべてが「転倒災害の防止」を最優先課題に掲げ、共通して訴えているのは気象情報の早期把握と事業場内共有、転倒危険箇所の「見える化」(危険マップ作成)、滑り止め具の着用徹底、除雪・融雪剤散布による安全通路確保など。
青森労働局は「冬期労働災害防止運動」を1日から26年2月28日まで実施。冬期労働災害は冬期に積雪・凍結・寒冷を原因とする労働災害が他期間の2倍以上となり、特に転倒災害が全体の78㌫を占めるため、転倒・墜落転落・交通労働災害の3つを重点に防止対象としている。同県の24年度の冬期間は死亡災害こそなかったものの死傷者246人(前年比1・5倍)と増加し、業種別では建設業が34人(13・8㌫)で3位となっている。
岩手労働局は「いわて年末年始無災害運動」を1日から26年1月31日まで実施。年末年始の慌ただしさと積雪・凍結が重なり災害リスクが高まる時期に、転倒災害の約6割、交通労働災害の約5割が冬期特有要因で発生することから、「あなたの安全家族の願い 年末年始も無災害」をスローガンにゼロ災を強く呼び掛けている。
秋田労働局では「転倒災害防止強化期間」を12月から26年2月28日まで設定。県内労働災害のトップは転倒災害で冬の3カ月間に集中し、独自解析で「低温注意報」の発表日は転倒リスクが1・6倍に跳ね上がることが判明したため、通年用の転倒災害防止資料に加え、冬期間専用のリーフレットを新たに作成。県内の労働災害防止団体などに配布して転倒防止対策の周知を図り、具体的な歩き方をイラストで広めている。
山形労働局は「冬の労災をなくそう運動」を12月1日から2月28日まで実施。山形県全域が豪雪地帯に指定された日本有数の豪雪地域である特性を踏まえ、凍結・積雪による転倒、墜落・転落、交通事故など「冬期型災害」を大幅に減らすため、気象情報を活用した先手の安全対策と基本遵守を最重点に据えている。
宮城労働局は「宮城年末年始労働災害防止強化運動」を12月1日から26年1月31日まで実施。日没の早まりや路面凍結に加え、年末年始の心理的な慌ただしさで転倒災害が特に懸念され、業務繁忙期でもあるため、長時間労働・過重労働防止も併せて推進し、「すべての労働者が安全で健康に過ごせる」ことを最大の目的としている。
福島労働局は「STOP!転倒災害 冬の労働災害防止キャンペーンふくしま」を1日から14日に準備期間、本運動を15日から26年2月28日まで実施。県土の85㌫が積雪寒冷地域、会津地方などには特別豪雪地帯も含まれていることから、冬の3カ月に発生する転倒災害の約4割が降雪・凍結原因となっている。昨年冬は積雪が多く転倒災害が大幅増加したほか、硫黄泉の温泉施設で労働者2人が雪洞内の硫化水素中毒により死亡する災害も発生したため、転倒災害撲滅を最優先に冬期特有のあらゆる災害を包括的に防止するキャンペーンを展開する。