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2023-11-17# 物件(仙台圏)

仙台市/卸売市場の再整備事業/水産・青果部門で計約5.6万㎡/配置は現状を活かす、F級冷蔵庫を新設

仙台市は中央卸売市場の再整備に向け、第3回検討委員会(委員長=西川正純宮城大学副学長)を16日に開いた。この中で市は、想定面積は水産物・青果部門の合計で約5万5936平方㍍になること、機能ごと現状を踏襲した施設配置とすることなどを示した。

現地改築を実施する市場再整備事業のスケジュールは、本年度に基本構想、2024年度に基本計画をまとめ、25年度以降から設計や調査に着手する。16日の会合は基本性能や適正規模、施設配置などを議論した。

適正規模は目標取扱数量(水産物6万8146㌧・青果12万1388㌧)と市場関係者へのヒアリングに基づき算出。

水産物部門は計延べ2万3462平方㍍で、現状の93・5㌫となる。卸売場はほぼ現状維持、仲卸売場は現状の4割に縮小する。買荷保管積込所は卸業者用を約6割に縮減し、仲卸業者用は4倍ほどに広げる。また新規に約2000平方㍍の冷凍庫を設置する。

青果部門は現状の81・0㌫となる計延べ3万2474平方㍍を想定。現状より卸売場は約半分、仲卸売場は約8割に縮小する。買荷保管積込所は卸業者用が1・6倍に広げる反面、仲卸業者用は約7割に縮減する。物流の変化を見据え約1000平方㍍のストックポイントを新設する。

市場の基本性能としては▽施設と運用の両面からHACCPを中心とした安全・品質管理▽低温流通(コールドチェーン)の実現▽1次加工や保管など求められる役割の多様化に対応できる加工・冷蔵冷凍・保管施設の整備▽物流業界の2024年問題を好機と捉えた立地を活かした物流網およびストックポイントの整備▽にぎわい・集客に資する新機能の導入─を掲げた。

施設配置の考え方は、南側にある正門の位置は変更せず、現状を踏襲して西側に水産棟、東側に青果棟を配置する。また、それぞれ現状と同様に北側を卸売業者エリア、南側を仲卸業者エリアとする。現在は敷地の中央部にある管理棟・関連棟は正門側に移転し、中央部は水産と青果を仕切る中央道路とする。

また現在、水産棟と離れて敷地北側中央に置いている水産用の低温買荷保管積込所は水産棟に合築。新F級冷蔵庫は水産棟北側もしくは現・低温買荷保管積込所に設置を想定する。既存の青果用の低温買荷保管積込所は解体を予定。青果共同配送センターは青果棟西か敷地南東側に設置する。同センターを青果棟に接続する場合、敷地南東側にはにぎわい施設を設ける計画。

整備手順は、市場を運営しながらの事業になることから、工事中に使用する仮設市場を、現在の管理棟・中央棟および敷地南西部の水産棟南側に確保するため、先行して管理棟・関連棟を正門東側に移設する工事からスタートする。続いて新水産棟と新青果棟を同時に建て替え、その後に新F級冷蔵庫および新配送センターなどの施設群を整備する。新水産棟と新青果棟を同時に建て替えるとしても、再整備の開始から完了まで10年ほど要する見通し。

16日の会合で、市場関係者の委員からは「災害時を想定し冷蔵庫に耐震性を持たせるべき」「活魚水槽の保管場所や加工スペースを確保してもらいたい」「大型車両が苦労しないよう正門付近の道路線形は整えてほしい」などといった声が出た。生産側の委員からは「一般消費者よりも市場で働く人たちの安全と快適さを考慮すべき」という意見が上がった。

仙台市の柳津英敬経済局長は「市場で働いている人たちのことを大切に考えて計画をまとめ、社会経済環境はあっという間に変わるのでスピード感を持って事業を進めたい」と述べた。

今後、来年1月に第4回検討委員会を開き基本構想中間案を提示する。概算事業費は過年度に470億~600億円と示したが、機能や事業手法によって変動するため現時点で構想案には示していない。

基本構想策定支援業務ては、三菱UFJリサーチ&コンサルティング・安井建築設計事務所JVが担当している。

中央卸売市場は、国道4号バイパスに近い仙台市若林区卸町4の4の1地内にあり、敷地面積は約18万平方㍍。開設から50年ほど経過している。

 

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