2025-05-29# 物件(仙台圏)
カメイ/本社ビルのZEB改修に着手/大成建設の施工/仙台市が取り組む“脱炭素先行地域”計画の一環
地域密着型総合商社のカメイ(仙台市青葉区国分町3の1の18 亀井昭男代表取締役社長)は、仙台市青葉区にある本社ビルのZEB化に向けて大成建設の設計・施工で着工した。仙台市が民間と共同で取り組みを進める脱炭素先行地域としての施策の一環で、環境省の補助金を活用。施工に当たって仮移転を伴わない「使いながらZEB改修」を採用する。
2050年カーボンニュートラルの実現へ、環境省が認定した仙台市の「脱炭素先行地域」の計画提案に盛り込んでいる定禅寺通エリアの業務ビル脱炭素リノベーションの第1弾案件。対象経費の3分の2を補助する地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を用いる。
カメイビルは約50年前の1974年に竣工したSRC造地下1階地上9階塔屋3階建て、延べ5867平方㍍。約20年前にリニューアル工事を実施済み。エネルギー消費量を50㌫以上削減する「ZEB Ready」の基準を満たす省エネ改修を施して総合的なエネルギー効率の向上を図る。
工事内容は空調機器の更新、LED照明への切り替え、窓ガラスの高断熱化、一部フロアへの太陽光発電設備の導入。工事中も休館せず業務への影響を最小限に抑えるため、フロア単位およびエリア分割での施工と、土日や夜間工事を実施する。工期は2026年1月までを予定。
カメイの担当者は「資産価値を高めつつ、運用時のエネルギーコスト削減と脱炭素社会への対応を同時に実現できる。質の高い業務を期待できる快適な環境を整えることで長期的な魅力向上にもつながる」とメリットを明かす。
施工する大成建設は、カメイと同様に仙台市の脱炭素先行地域計画の共同提案者に名を連ねており、既存ビルは絶対数が多いことから今回同様にZEB改修の提案を増やしていきたい構えだ。
仙台市によると、カメイビルに隣接するアーバンネット定禅寺ビルでもZEB改修が計画されており、年度内には工事が始まる見込みだという。同ビルはNTT都市開発が所有(信託先は三井住友信託銀行)しており、2009年に完成した。市はカメイビル、アーバンネット定禅寺ビル、新本庁舎の3カ所を「定禅寺ZEBスポット」に位置付け、市民や事業者に向けてZEBの理解浸透に取り組む。
市の計画によると、定禅寺通沿いで東側は東二番丁通りに接する仙台三越定禅寺通り館および勾当台公園市民広場から、西側は橋本ビルヂングおよびせんだいメディアテークまでの大通りに面した区画をエリア指定している。これらのビルオーナーの中にはZEB改修を検討している所有者もいるもようだ。
このほか市の脱炭素先行地域の施策は、東部沿岸エリアの民間施設に太陽光発電設備を導入する。すでにJRフルーツパーク仙台あらはま(122㌔㍗)、GardenKitchen海と風(26㌔㍗)、深沼うみのひろば(16㌔㍗)で今年から稼働を開始している。
また泉パークタウンエリアでは紫山3丁目・4丁目を対象に太陽光発電や断熱改修といった住宅の脱炭素リノベーションを展開。昨年度は21件の申請実績があった。
市の担当者は「今後もさまざまなステークホルダーに向けてZEB改修体験会を開くなどし、脱炭素化の意識を醸成していきたい」と話す。市の計画期間は24~30年度(交付金の活用は28年度)までの7年間。