2025-09-26# 物件(仙台圏)
仙台市/青葉山エリアの交通環境整備を委託/交差点改良や都計道など検討
仙台市の市街地西部・広瀬川の両岸に位置する青葉山エリアと西公園エリアには今後、音楽ホール(中心部震災メモリアル拠点複合施設)、仙台城大手門の復元、屋内遊び場といった集客を期待できる施設が整備される。市としても既に集積している学術機能などを踏まえた青葉山エリア文化観光交流ビジョンを策定し、にぎわいあるエリア形成を志向する。課題は円滑な自動車交通の確保だ。市は本年度、調査業務を計量計画研究所に委託して検討に取り組む。
青葉山エリアには既に、東北大学と昨年開所した放射光施設・ナノテラスという学術・研究施設をはじめ、宮城県美術館(改修中)、コンベンション機能を有する仙台国際センター、仙台市博物館、仙台緑彩館が集まる。
イベントがある週末は、国際センター北側のせんだい青葉山交流広場駐車場(一般車最大342台)に進入したい車両が列を成すなど、市道澱橋(よどみばし)通線と南側に続く市道青葉山線が西公園通のあたりまで渋滞する。
澱橋通線と東西方向の市道が交わる仙台二高前交差点が、澱橋通線には右折レーンが無いことも渋滞に拍車を掛けていると考えられる。このため委託業務で検討を行う。
また、せんだい青葉山交流広場駐車場は音楽ホール複合施設の建設予定地となっている。複合施設の大ホールは収容人員2000人。基本計画によると一般用駐車場は敷地内に約100台を設け、公演時はできる限り公共交通の使用を呼び掛けるとしている。しかし多くの来場者が予想されるイベントが重なれば、駐車場不足と渋滞の悪化は明らかだ。
国際センターの対岸で、西公園に新設する屋内遊び場も、保護者アンケートで移動手段は76㌫が自家用車と回答しているものの、駐車場確保の具体策は明らかになっていない。基本計画案には立地特定を生かし地下鉄利用を促すことを前提としつつ、施設北側に西公園再整備事業で設ける平面駐車場(約65台)の計画に関して立体化を検討すると記載している。
西公園再整備で計画する駐車場自体、仲の瀬橋側からの出入り口が入退場とも左折に限定される点も利用者に不便を感じさせる懸念がある。
市はこのほど、「西公園・青葉山エリア交通現況調査・対策検討業務」を計量計画研究所に委託した。入札は7月30日に行い1688万円で決定している。
この業務の目的と概要は、西公園・青葉山エリア内で計画されている施設の供用後に安全で円滑な交通環境を確保するため、エリア内外の交通量調査と駐車場出入り台数調査、現況評価、動的交通シミュレーションを行って対策案を検討するもの。
対策の例として、付加車線整備を含む交差点改良、信号現示の見直し、各施設で必要な駐車場・駐輪場台数の見直し、歩道や自転車通行帯の整備、都市計画道路・川内旗立線の整備などを想定している。履行期限は2026年3月末。
◎川内旗立線の効果
大学の安全にも寄与
国際センターの南西側では仙台城の石垣復旧工事に伴い、市道仙台城跡線が7月末まで通行止めとなっていた。この路線は仙台城の脇を抜けて八木山方面につながるため、代替路として東北大学のキャンパス敷地内を通る市道筋違橋通線・同荒巻青葉4号線・同青葉山亀岡線を利用する車両増え、工事中は安全面や利便性で大学側に負担を強いていた。
今後、仙台城址入口交差点付近で36年完成を目指す大手門復元事業が具体化すると、仙台城跡線は再度、通行止めになる可能性がある。復元後も車両が通行できる保障はない。こうした状況で検討の余地があるのが都市計画道路・川内旗立線だ。
川内旗立線は地下鉄東西線・川内駅の近くで、現在は直角に曲がっている箇所を東側から西側へと延伸するようなルートを取り、大学構内は基本的にトンネル構造で抜ける。その先は竜の口橋梁(地下鉄東西線との共用)を経て太白区八木山地区に至る。
道路延長は約3・6㌔㍍。車線数は4。計画では川内側から開削工法のボックストンネル、工学部の地下を通る山岳トンネル、青葉山2号橋、竜の口トンネル、青葉山1号橋(いずれも仮称)、竜の口橋梁(完成済み)を設け、路線の大半が構造物となる。トンネルはセパレートで2本設ける。竜の口橋梁は下層が地下鉄の構造物として完成・供用済み。都計道となる上層は前後の道路がつながっていない状態となっている。
数十億円超の事業費を要するが、この路線ができれば中心部と八木山方面を結ぶ幹線道路になる上、大学に用事のある交通と通過交通を分離できて安全が確保されるメリットは大きい。