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みやぎ建設新聞 ピックアップ記事

2025-10-30# 物件(仙台圏)

フージャースコーポレーション/仙台市太白区「デュオリスタ南仙台」を分譲開始へ/仙台で8年ぶりの1棟フルリノベマンション事業着手

 DGコミュニケーションズの調査では昨年の仙台市内の新築分譲マンションの平均販売価格は5826・8万円で、2023年(4616・5万円)から大きく上昇した。地価の高止まりに加え、建築費の上昇が落ち着く気配も見えず、もはや「仙台市内で新築3LDKのマンションを6000万円以下で買うことはできなくなりそう」との声も不動産業界内では聞こえ始めている。

 このような中、フージャースコーポレーション(東京都千代田区 小川栄一代表取締役社長)は、仙台市太白区西中田のJR南仙台駅近くの既存の賃貸マンションを取得し、これを1棟丸ごとフルリノベーションして分譲マンション「デュオリスタ南仙台」として販売する。リノベーションの設計・施工はデザイン性と施工能力の高さで定評があるエコラ(仙台市青葉区 百田好徳代表取締役)が担当、ことし2月に着工し来年6月末の完成、7月末の引き渡しを予定している。

 所在地は仙台市太白区西中田3の51の5地内の敷地面積4339・24平方㍍。既存建物竣工年は1997年2月末で、階数規模はRC造10階建て、総戸数は87戸(別に管理事務室1室)。

 仙台市内では2017年に仙台市青葉区上杉6丁目でヤマウラ企画開発と東新住販により企業社宅2棟をリノベーションして分譲した「ベルグランデ上杉イースト/ウエスト」以来2例目となる。また、同社としての1棟フルリノベーションによるマンション分譲は、北海道、首都圏、北陸に続く分譲事例となる。同社東北支店の安部大介支店長は「地元企業に勤める会社員の平均世帯所得で購入できる分譲価格に設定した社会的意義の高い開発事業」と胸を張る。

 首都圏を中心に住宅の購入・賃借費の上昇が社会問題ともなっている折り、欧米の大都市を中心に一般的な給与所得者が無理なく住むことができるアフォーダブル住宅の概念が国内でも普及し始めている状況下、今回の同社の取り組みにも大きな関心が寄せられそうだ。

◎2タイプのモデルルーム完成・10月よりモデルルームオープン
 同社の「SENDAI Re NEW PROJECT」による1棟まるごとリノベーションでバリューアップした分譲マンション「デュオリスタ南仙台」は、11月から販売を開始する。2026年6月末の完成に向けて工事が進捗する現場を10月初旬に訪れた。

 所在地はJR東北本線「南仙台駅」から徒歩8分、柳生小学校・柳生中学校の学区内に位置し、徒歩5分圏内には24時間営業のスーパーもある生活利便性の高いところ。

 コンセプトは「新築と中古のいいとこどり。自分らしい、新しい住まいのカタチ」。建物内には、89・13平方㍍の「センターキッチンプラン」と68・65平方㍍の「土間プラン」のモデルルームが完成し、10月4日にグランドオープンした。価格帯は3LDKの68平方㍍超が2500万円台から、3LDKの89平方㍍超は3400万円台から分譲する予定だ。

 リノベーションのポイントの一つは配管の更新だ。建物内部を階下に貫く排水管はコンクリート埋設されていないため、比較的容易に更新が可能だった。このため工事の順番は、階ごとではなく縦割りで実施している。築28年を経過していることから、配管の更新を行うことで建物の資産価値が向上することはもちろん、入居者にとって安心・安全と快適性を確保できる。

 またアプローチを見ると、木目調の縦桟と外装材を上張りすることで高級感が増した(新旧比較①参照)。エントランス周辺は元々広いスペースが設けられていたことから、新たに宅配ボックス、全戸オートロックシステムを追加し、集会所として使用していた部屋はコミュニティスペース兼キッズスペースに作り替え、新築マンション同等の設備と子育て世代にも配慮した住空間に生まれ変わった。

 モデルルームのセンターキッチンプランの部屋は、アイランド型に配置されたキッチンによりリビングルームが従来よりも広い空間として感じることができるようになった(新旧比較②参照)。また土間プランは、玄関を開けると約3帖分の土間スペースが広がっており、自転車やアウトドア用品を置くスペースとしての活用や帰宅後すぐに手洗いができるように洗面化粧台が配置されているなど日常生活の快適性に考慮した導線となっている。また、室内の設備はすべて新築と同等のものを採用している。

 このほか敷地内平置駐車場は全戸1台分を備えた上で、駐車ますの幅を新築マンション同等の幅に拡幅する。拡幅義務はないものの、利用者の安全と快適な空間を確保するための付加価値として再整備する。

 安部支店長によれば、全ての賃貸マンションが分譲マンションとしてリノベーションできるわけではなく「各住戸を専有部分、共用部を共有持ち分として不動産登記できるかをリーガルチェックし、かつ、新築分譲マンションと同等の性能を確保した構造や居住面積を保有するもの」に対象は限定されるとし、「今回の物件は床スラブの厚みが通常の分譲マンション同等であり、エレベータも2基を備え、エンジニアリングレポートでも順法性を担保できたため事業化に踏み切った」と話す。購入者は通常の新築同様の融資を受けることができて、既存の住宅瑕疵保険の対象となるなど不安要素はないという。「20年前の分譲マンションの価格帯で、現代のニーズを充足した暮らしを提供できないかが開発コンセプトにある。すでに数多くのお客様からお申込みを頂いており、今後、第2弾、第3弾と考えていきたい」と期待を込めた。

 

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