HOME

みやぎ建設新聞 ピックアップ記事

2025-10-09# 物件(石巻・気仙沼)

石巻市/雨水排水施設の整備計画/湊ポンプ場は自家発を本設へ/石巻中央幹線でシールドなど設計中

 石巻市の雨水排水施設は、東日本大震災に伴う地盤沈下で市街地の内水排除が困難になったことから、日本下水道事業団(JS)の支援を受けてポンプ場と幹線を整備した。しかし一部の排水区では幹線や準幹線の布設が遅れており、今後も優先順位を考慮しながら整備を続ける。現在、石巻市雨水管理総合計画を建設技術研究所に委託して作成中で、成果次第では優先順位の見直しもあり得る。

 計画上は、5年確率となる1時間当たり45・6㍉㍍の雨量に対処できる排水能力を整備している。本年度に委託した雨水管理総合計画は、来年度にかけて取りまとめを行い、今後の施設整備の方針が定まる。

 震災後、JSによって市役所前を通る国道398号に石巻中央幹線を布設した石巻中央排水区は、既存中央幹線の上流部に接続する幹線の整備を計画している。

 住宅が密集していて土地の低い山下地区や貞山地区の排水を担う幹線となる。計画によると石巻好文館高の東側に当たる貞山1丁目から道路沿いに住宅地を北側に向かい、錦町を抜けて陸前山下駅の東側でJR線路の下を交差する。石巻工業高の東側を北上し、新橋のスターバックスコーヒー石巻バイパス店付近で県道石巻鹿島台色麻線(石巻バイパス)に接続する。

 口径は2000~3000㍉㍍程度。延長は数百㍍ほどが見込まれる。シールド工法あるいは推進工法で布設する。上流側は住宅地でヤードの確保の難航が予想されることもあり、発進立坑は石巻バイパス側(下流側)への設置が想定される。

 昨年度に石巻中央排水区基本設計業務として発注した基本設計(担当=日水コン)は本年度にまとまった。今後、年内をめどに実施設計を発注したい考え。

 日和大橋のたもとで旧北上川河口左岸にある湊排水区の湊排水ポンプ場は、非常用自家発電設備の本設に向けて設計を委託している(担当=日水コン)。計画ではポンプ5台を備えて排水能力は毎秒15・696立方㍍の施設だが、現状はポンプ4台で排水能力が毎秒12・67立方㍍の施設。

 既存の自家発電施設が仮設である上、浸水想定も考慮し、架台や上屋の新設などによる嵩上げを行った上で、設備容量250㌔㌾㌂(想定)の自家発電設備を設置する。

 なお市内では湊を含め3カ所のポンプ場で計画処理能力を満たすポンプが設置されていない。

 釜排水ポンプ場は計画ではポンプ6台だが3台の設置にとどまる。処理能力は毎秒14・072立方㍍の計画だが、実際は同7・6立方㍍となっている。井内ポンプ場は計画では4台のポンプが現状は2台しかない。処理能力も毎秒5・897立方㍍の計画だが、実際は毎秒3・06立方㍍/秒となっている。

 北北上運河沿いの北北上運河右岸第一排水区では、蛇田排水ポンプ場に西側から流れ込む北北上運河右岸第1―4号幹線(開水路の中ノ堀)をオープンシールド工法などで整備している。

 ポンプ場の北側で、他の流入幹線と合流する地点から上流側(西側)へ延長335㍍をオープンシールド工法で整備する。寸法は5000㍉㍍×3000㍉㍍。設計は佐藤土木測量設計事務所がまとめた。

 最下流部から着工し、23年度(担当=遠藤興業)と24年度(担当=新東総業)でそれぞれ20数㍍を施工。本年度は続く延長126㍍を施工している(担当=久我建設)。来年度以降に残る延長160㍍程度を発注する。

 この排水区では、第1―4号幹線の北側に第1―2号幹線および第1―1号幹線を計画しているが、処理容量や施工の実現性を踏まえ、幹線網の見直しも検討する。

 このほか、釜排水区で1500㍉㍍から2400㍉㍍程度までのボックスの幹線など、市内中心部で複数の幹線や準幹線の計画がある。

 また、石巻河南ICの北東部で向陽町など住宅密集地の嘉右衛門堀排水区に計画する嘉右衛門排水ポンプ場(計画能力16・320立方㍍/秒)をはじめ、嘉右衛門堀排水区から旧北上川を挟んで対岸の南境第二排水区の南境第二排水ポンプ場(計画能力2・818立方㍍/秒)、定川河口左岸の柳の目排水区の柳の目ポンプ場(計画能力3・485立方㍍/秒)が未整備となっている。雨水管理総合計画の内容などにより、これらの施設整備に着手する可能性はある。

#記事カテゴリー