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2023-10-20# 物件(大河原)

東北農政局阿武隈土地改良/角田地区・排水能力を強化/地域整備方向検討調査に着手/能力30~40㎥規模の排水機場設計へ

東北農政局阿武隈土地改良調査管理事務所は、宮城県角田市および丸森町の排水能力強化に向け、本年度から地域整備方向検討調査に着手した。角田二期地域として排水機場の基本設計などを発注しており、来年度以降に国営事業地区調査への移行を見込む。

角田市と丸森町を対象とする角田二期地域は、阿武隈川左岸に広がる受益面積約3100㌶。

地区下流(角田市北部)にある江尻排水機場は、口径2600㍉㍍のポンプ4台を備え排水能力62立方㍍/秒の規模を有する。一般的に農業用途の排水機場は、農業用排水路から河川に流れ込む排水に対応する。しかし江尻排水機場の場合、農地排水が流下する尾袋川と雑魚橋など河川の水を阿武隈川方向に排水する施設のため、これらに対応できるよう東北管内最大規模の能力となっている。

同機場の改修事業の最中に発生した令和元年東日本台風では、長期間にわたり農地の湛水や市街地が冠水する被害を受けた。このため地域として排水能力の強化を立案。角田市では「防災・減災構想」を取りまとめ、河川改修や雨水排水機能の強化、調整池の整備、道路の嵩上げといった施策を展開する。農政局としても、近年多発している豪雨に対処可能な農地防災事業の活用なども視野に入れ、検討を進めているところ。

川沿いに立地する江尻排水機場は能力増強に対応できる敷地の余地が無いため、上流側に近接して、既存の江尻第三排水機場(撤去予定)の機能も担う統合排水機場を新設する予定。建設場所は江尻第三排水機場および県道亘理大河原川崎線の南西側に位置する角田市江尻深沼地内の農地を想定。排水能力は30~40立方㍍/秒で計画中。地盤を考慮して杭基礎とすることが見込まれる。本年度に基本設計を三祐コンサルタンツが受注した。

また、地区上流の角田市南部で排水能力8・7立方㍍/秒で新設する小田排水機場と、さらに南側に位置する丸森町で既存能力1・0立方㍍/秒を8・7立方㍍/秒に増強する計画の堀切排水機場を対象に、構想設計をまとめている。業務は本年度に内外エンジニアリングが受注した。対応する流量や経路などの確定後、基本設計に移行する。

小田排水機場は、宅地の排水を処理する市所管の野田排水機場にカバーされない農地の排水を担当する。小田排水機場に流れ込む小田排水路(延長約1㌔㍍)には、小田川を越えて中谷地排水路と横倉堀排水路からも排水が流入する計画だが、小田川をサイホンで越える形式を想定している。堀切排水機場も能力強化を図り、湛水被害の軽減を図る。

なお、基幹施設の操作管理は、あぶくま川水系角田地区土地改良区が担当している。

 

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