2025-09-18# 物件(大河原)
宮城県/県南部の小中学校再編計画/蔵王町が小学校再編委を設置/白石市は年度内に全小中の方針示す
宮城県南部の各自治体で小中学校の再編計画が進んでいる。各市町は近年の建築費高騰やさらに進行するであろう人口減少などの課題を受け、学校の運営形態や建設地など慎重に構想や計画を練っている。統合中学校の着工を迎えた蔵王町では、新たに小学校5校の再編に向けて小学校再編実施計画策定委員会を7月に設置した。白石市は全小中学校の再編の具体化に着手。川崎町は再編を視野に入れた小学校改築の計画を示している。
蔵王町は宮、円田、遠刈田の3中学校を再編する蔵王中学校(統合中学校)に本格着工する。その一方で7月には小学校5校(宮、円田、遠刈田、平沢、永野)の再編に向けた「小学校再編実施計画策定委員会」を設置した。小学校再編は第5次蔵王町長期総合計画・後期基本計画に示しており、期間満了となる2027年度までの計画作成が見込まれる。同委員会は校長会の会長や5校のPTA会長など15人で構成。10年前には小中学校の再編を検討する「学校教育環境検討委員会」が開催されており、その時点では3小学校(円田、平沢、永野)の再編計画が立案されていた。新たに設置した委員会では10年前の案も踏襲しつつ、ゼロベースで協議する考え。今後の第6次蔵王町長期総合計画に実施計画を盛り込む。統合中学校の計画同様、計画策定までは庁内で行うためコンサルタントには委託しない方針。
白石市は全小中学校の再編に向けた方針案を本年度内に示す予定だ。少子化の進行により、小学1年生が1学級編制となり半分以上の学校で1学級10人未満になると予想されている。小中一貫の小規模学校と義務教育学校の新設も視野に入れている。
角田市は角田中学校と北角田中学校の再編に伴う建設地選定と基本計画策定に着手しており、支援業務を国際航業に委託中。スケジュール案によると来年1月に建設地が確定する見込み。基本計画・構想の見直しの中間案は同年6月に確定させる。基本・実施設計は同年10月に入札を想定している。また第3次行動計画構想では桜小学校と北郷小学校の再編・統合も立案。27年度までに検討委員会を設置し、今後の児童数の推移を確認した上で再編・統合時期の最終判断を下す。
川崎町は川崎小学校の改築を計画。現川崎中学校の敷地および周辺に新設し、小中一貫の転換余地を確保したRC造複数階建てで、中学校などの関連施設と一体整備まで視野に入れる。完成時期は小学校が31~33年度、中学校は33~35年度を想定。町は建設用地を優先的に決定し、小中一貫校や義務教育学校といった運営形態を定め、計画の方向性が固まり次第、基本計画を公募型プロポーザルで委託する。
七ヶ宿町は七ヶ宿中学校の改築に向けた基本計画に着手している。基本計画・基本設計を関・空間設計に委託しており、10月末までに基本計画をまとめる。七ヶ宿中と隣接する町民グラウンドを合わせた敷地3・4㌶に修業年数9年の義務教育学校を新設する。文部科学省の補助金を活用する上で算出した新設建物の上限規模は校舎が延べ5000平方㍍、体育館が延べ1400平方㍍。いずれも2階建てで主要構造は未定としている。26年度に実施設計を委託し、27年4月から30年9月までの校舎建設を見込む。
村田町は小中学校の各統合計画に向けて、中学校新校舎の基本計画を25年度に着手する。当初予算に計画策定費を措置しているが執行時期は未定。町内には小学校が村田小学校と村田第二小学校、中学校は村田第一中学校と村田第二中学校の各2校を置いている。現時点での計画によると、小学校は村田小を改修せずにそのまま活用する。中学校は村田第一中の敷地に新築を検討している。概算建築費は20億円以上を見込む。統合時期は小学校が27年度、中学校が28年度の4月を目指している。
沿岸部の山元町では全3小学校の再編を計画し、基本計画および民間活力導入可能性調査に着手した。PFI(BTO)方式を採用する方針で、山元中学校と隣接する山下小学校の敷地を活用し、小学校を新設する。現時点で施設一体型の小中一貫教育学校として事業を進めたい考え。小中一貫校か義務教育学校とするかは26年度内に決定する見込み。開校は30年度を目指す。