2025-10-16# その他
宮城県、仙台市/仙台市・川崎町境のR286改良/ともにTN工事の発注近づく/29年完成目指し構造物の整備進む
宮城県と仙台市が共同で取り組んでいる国道286号の仙台市と川崎町の境界部を改良する事業は、県と仙台市がそれぞれ手掛けるトンネル工事の発注が近づいている。仙台市は発注見通しによると11月にWTO対象で発注する。宮城県も事業進捗の足並みをそろえるべく、来年度にも公告する公算が高い。
市町境は碁石川沿いの現道が急峻で幅員も狭いことから、碁石川の対岸(西側)にバイパスを新設して安全で円滑な交通を実現する。川崎町側の整備は県が施行する。事業名は、仙台市側(起点側)が南赤石工区、県側は支倉道路改良事業となっている。
事業延長は約2・7㌔㍍で、仙台市側が約1・4㌔㍍、川崎町側が約1・3㌔㍍。幅員は片側歩道の2車線で12㍍を確保する。橋梁とトンネルも片側歩道とし、橋梁は幅員12・5㍍、トンネルは幅員11㍍で整備する。道路規格は3種2級。設計速度は60㌔㍍/時。2016年度に着手し、29年度の供用を目指している。全体事業費は約55億円。
ルートは、仙台市太白区坪沼山田の赤石パーキングの北東側で現道から分岐する。碁石川を跨ぐ1号橋と、続けて1号トンネルを設ける。市町境には碁石川に流れ込む沢を跨ぐ2号橋を架設する。川崎町側には2号トンネルと、碁石川を跨ぐ3号橋を設置する。
終点は川崎町支倉川窪の支倉台団地への進入路付近まで、現道に沿うように改良する。道路詳細設計は復建技術コンサルタントがまとめた。
進捗状況を見ると、仙台市は1号橋の近くで現道から分岐する工事用道路および仮橋を用いて、1号橋の上部工を構築している。同橋は橋長207㍍のPC3径間連続ラーメン箱桁。支間長は56㍍+91㍍+56㍍。詳細設計は復建技術コンサルタントが担当した。
工事用道路は高工、仮橋は深松組が整備した。下部工はA1・A2橋台を高工、P1橋脚を伸和興業、P2橋脚を河北建設が構築している。
上部工は東日本コンクリート・極東興和・昭和コンクリートJVが施工中。張り出し架設を採用し、このほどP1側から張り出しを開始した。P2側も年明けごろから張り出しに着手する見込み。
1号トンネルは延長447㍍、内空断面積約74平方㍍。詳細設計は千代田コンサルタントがまとめた。全体を通して地山等級はD1を見込み、NATM機械掘削で起点側から掘削する。地質は凝灰角礫岩が主体の湯元層。土被りはおおむね30~40㍍となる。
なお、用地取得は本年度末で9割の進捗に達する見通しで、取得状況を踏まえて起点側の本線の道路改良に着手する。それまでは現在の工事用道路を使用する。
市町境の2号橋は橋長約38㍍のPCポステンT桁。詳細設計は県が委託して中央コンサルタンツが担当した。下部工は仙台市と県がそれぞれ発注する可能性があり、上部工の発注主体は未定。
県側の進捗を見ると、終点部は現道脇の改良が進む。
現道近くに架設する3号橋は橋長94㍍の鋼上路式単純トラス橋。詳細設計は三井共同建設コンサルタントが担当した。下部工はA1を奥田建設、A2をアクセスが構築。上部工はJFEエンジニアリングが施工しており、谷が深くベントの設置が難しいことからケーブルエレクション工法を採用した。現在は架設を終え、床版工を行っている。
3号橋から2号トンネルの終点側坑口まで数十㍍区間は土工が必要だが、未着工となっている。当初は上部工に含めていたが別途発注する可能性を含めて調整している。
2号トンネルは延長618㍍、内空断面積は約74~81平方㍍。詳細設計は建設技術研究所、設備設計は中央復建コンサルタンツがまとめている。地質は凝灰角礫岩と安山岩が主体の地山で、終点側からNATM機械掘削で掘る計画となっている。工事発注に当たってはWTO対象となる可能性が高い。



